君のためにこの詩(うた)を捧げる
その夜。



部屋に戻った澪のスマホが光った。



――【輝:少しだけ、時間がほしい】



メッセージを見つめながら、
澪は涙が頬を伝うのを止められなかった。



(みんな嘘をついてた。
でも、一番嘘をついていたのは……私かもしれない。
“平気”なふりをして、
本当は、ずっとあなたを待ってたのに。)



窓の外には、街の灯りが滲んでいた。



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