君のためにこの詩(うた)を捧げる
その夜。


澪のスマホが鳴った。


見知らぬ番号。

「はい……?」


『もしもし、真波澪さんですね。週刊星流の坂上と申します。
橘輝さんとのご関係について、少しお話を伺いたくて――』


澪の手が震えた。


「な、なんのことですか……? 私は……」


『先日、公園でのお二人の姿を拝見したという方からご連絡がありまして。
彼のためにも、事実関係を――』


ブツッ。


通話を切る音が、静かな部屋に響いた。


(……怖い。)

(私のせいで、また輝が――)


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