君のためにこの詩(うた)を捧げる
翌朝。


澪は駅前で輝を待っていた。


眠れなかったのか、少し目が赤い。


「澪?」


振り返った輝の笑顔は、
変わらず優しくて、痛かった。


「週刊誌……連絡が来たの」


「……やっぱり」


輝は短く息を吐いた。


「ごめん。全部、俺のせいだ」


「違うよ。私が勝手に――」


言いかけたその時、
輝がそっと澪の肩を抱いた。


「もう、誰にも謝らなくていい」


その声が震えていた。


「俺、もう逃げない。
芸能人としてじゃなく、ひとりの人間として、
君と一緒に生きるって決めた。」


「……ひかる……」


「マネージャーにも話した。
記事が出ても、俺は君を守る。
でも“隠す”んじゃなく、“隣に立って”守る。」


澪の目から涙がこぼれた。



「そんなの……叩かれちゃうよ……」


「大丈夫。叩かれても、俺がいる。
君の手を離さなければ、
それでいい。」

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