君のためにこの詩(うた)を捧げる
ラストカット。


夜のフェス会場を抜け出した二人。


海辺の遊歩道を歩きながら、
潮風に髪を揺らして笑い合う。


「なあ、澪」


「なに?」


「今でも思うよ。
お前に会った日が、俺の人生の始まりだったって。」


澪は顔を赤くして、
ふと立ち止まる。


「……もう、そういうこと急に言うのずるい」


輝はいたずらっぽく笑って、
彼女の髪をそっと耳にかけた。


「ずるいのは、お互い様でしょ」


そして、
波音の中で――二人はもう一度、
静かに唇を重ねた。


「君と生きる光の中で、
僕は何度でも恋をする。」



Fin.


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