さびしがりやの毒花
「それでは吉崎先輩、そろそろわたし……」
刹那、右手をつかまれた。
「これ、どうしたの?」
先輩の瞳が映したのは、ひとさし指の絆創膏。
その目つきがスッと尖る。
心配というより、なぜだろう、怒っているみたいだった。
「ああ、これは」
「誰にやられた?」
「え?」
「誰に傷つけられたんだ」
だれに?
だれにって、これはそんな傷じゃない。
どうしてそうなるのだろう。
不思議に思ったけど、吉崎先輩はいたって大真面目だ。
「紙で切りました。ノートに擦っちゃって……」
「え」
きちんと答えれば、パチパチと、拍子抜けのように瞬く瞳。
それを数秒続けたあと、先輩は手を離してくれた。
「ごめん、そうか、そうだよな」
納得したような、自分に言い聞かせるみたいな。
先輩が発した声音は、なんともいえないトーンだった。
その姿に違和感……というか、あきらかな隔たりをかんじる。