離婚するはずが、凄腕脳外科医の執着愛に囚われました

話から推察するに、病棟で派手な修羅場を演じた人がいたのだろうか。未依はその手の噂話に興味はないが、すぐあとに出てきた名前にビクッと反応してしまう。

「いくら律先生でも、患者さんのご家族相手ならもう少しちゃんと対応するでしょ。いつも通り塩対応っていうか、どっちかというと迷惑そうにしてたよ」
「たしかに。女性の方が一方的に捲し立ててた感じするよね。正直、あの剣幕にちょっと引いちゃったし。じゃあアメリカ時代の元カノとか?」

律の話だとわかるやいなや、未依はつい聞き耳を立てる。不穏な単語が出てきているため、聞かずにはいられなかった。

「そうじゃない? やっぱり律先生ってアメリカでもモテてたんだね。英語ペラペラでさすがって思ったけど、どんな美女相手でも塩対応なのが律先生って感じ」
「あのアメリカ人美女、病棟で騒ぐ非常識なところはナシだけど、女性にしては身長高かったから並んだら絵になってたよね」
「さっきの女性、たしかアメリカ人のインフルエンサーでしょ? モデルもしてるってSNSで見たことあるよ」
「えっ! そうなの?」
「うん、なんて名前だっけなー」

三人が通用口を出て扉が閉まると、それ以降の会話は聞こえない。けれど、未依に衝撃を与えるには十分だった。

(律くんと、アメリカ人のモデル……?)

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