離婚するはずが、凄腕脳外科医の執着愛に囚われました

とはいえ、陰口はともかく私物を捨てられるのには腹が立っていたため、今後そうした嫌がらせが収まるのならありがたい。

バッグに防犯ブザーを潜ませて大通りの歩道を歩けば、あっという間に病院へ着いた。

正面ではなく職員通用口へ回り、受付で差し入れを届けてもらう手続きをする。自分も働いている病院とはいえ、私用で医局へ立ち入るのは禁止されている。来院者記入簿を書いていると、奥から興奮気味に話す女性たちが出てきた。

「なんかドラマ見てるみたいだったね。やっぱり修羅場だったのかな」

(あれ、山尾さんたちだ)

彼女らは未依と同じ七階の病棟の看護師だ。未依やあかりは7Aと呼ばれる西側フロア、山尾は東側である7Bを担当しており、互いに顔見知りだ。けれど常駐するスタッフステーションが別々のため、挨拶はするけれど、そこまで親しくはない間柄だった。

「ベタベタ腕に触ってたし、絶対昔の女だと思う」
「ネイティブすぎてなに言ってるのかほとんど聞き取れなかったけど、なんかおじいちゃんの手術がどうのって言ってたよ。患者さんのご家族じゃない?」

山尾たちは未依に気づかぬまま、後ろを通りすぎていく。

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