離婚するはずが、凄腕脳外科医の執着愛に囚われました

それなのに、いざ律に近しい女性の存在を感じて狼狽えてしまうのは、彼と想いを通わせたこの数日間がとても幸せだからに他ならない。

初めて身体を重ねた日以降、律はリビングのソファではなく寝室のベッドで眠るようになった。

『俺が遅い日はわざわざ起きて待たなくていい。でも、未依を抱きしめて寝たいんだ。できるだけ起こさないように気をつけるから……ダメか?』

愛しい旦那様にそんな風に懇願されて、断れる妻がいるだろうか。未依は一も二もなく了承した。

日勤の日は帰宅時間がズレていても一緒に眠れるし、別々にベッドに入ったとしても、朝起きたら目の前に律の寝顔がある。彼の腕に包まれながら起きる朝はこの上なく幸せで、未依は社会人になってはじめて『仕事行きたくないな』と感じてしまうほどだった。

愛し、愛される喜びを知った今、間違いなく幸せの絶頂にいる。

そんな時に、過去に律のそばにいたであろう女性の噂を聞いてしまった。律の気持ちを疑っているわけではないけれど、山尾たちが未依とは違うタイプだとも言っていたため、なおのこと気にかかる。

男性にとって、愛情と性欲は別物だと聞く。五年近くも離れていたのだし、そもそも当時は夫婦としての実態などなかった。彼が持て余した欲求を、美しい女性を相手に発散していたとしても、今さら咎められるはずもない。

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