Existence *

すれ違う心

正直、こうやっていつまで居たらいいのか分からなかった。

美咲が決めていいとは言ったものの、このダラダラと過ぎていく毎日をいつまでしたらいいのかと思ってしまう。

久しぶりに来たお墓。

美咲のお母さんのお墓を俺は訪れる。


ほんと久々で、お母さんと話した会話も笑顔も、この間の様に感じてしまう。


「…随分と来ていなくて、すみません…」


花を添え、手に持っている線香に火を点けて置くとユラユラと舞い上がる煙と同時に俺は空を仰いだ。

澄んだ空があまりにも綺麗で、その空に向かって深呼吸する。


何も語ることなくただ暫くその場で佇み、俺は足を進めた。

その足でお袋の墓へと向かい、同じ様に花を供え墓石を見つめた。


…――翔、元気?ちゃんと食べてるの?


そよそよと揺らぐ風に花びらが揺れる。

お袋にかわってその花が何故かそう言っているような気がした。


忘れている事でもここに来ると思い出す。

この歳になっても、まだお袋に会いたいと思ってしまう。


特に話す事もなくその場にしばらく佇んでしまった。

時間が経つごとに空気が冷たくなり、俺は帰宅する。


何も考えることなくソファーに横になって一時間は経つのだろうか。

身体を起し、テーブルに置いているタバコの箱から一本取り出し口に咥える。

咥えて火を点けた時、ピンポーンと鳴る音に視線が玄関の方向に向いた。


コンコンコンとドアをノックする音。

エントランス前からのインターフォンではなく、この部屋の玄関からの音。


ここまで来るのはもう決まってる。

流星か、沙世さんか…


もう一度なる音にため息を吐きながら重い腰を上げる。

そのまま足を進ませ、俺はタバコを咥えたまま玄関のドアを開けた。
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