Existence *
「沙世からは聞いてたけど、その事に関しては百合香は一切言わなかったぞ。まぁ、でもあれだな…」

「……」

「翔が中3だったかな?俺が丁度一時帰国した時に、百合香が翔が毎日帰って来ないって言ってきて、お前に怒ったことあったわ」

「もー、知らないっすよ、そんな事」

「俺は忘れもしねぇぞ。お前に、うっせぇよテメェ!関係ねぇのに出てくんなや!ってガチギレされたわ」

「いやぁーっ、新庄さん可哀相」


優香が顔を顰めた後、俺を見て睨んだ。


「はい。もういいっす。すんません、ほんまに」

「懐かしいなぁ。それにしてもお前ら本間に仲えぇなぁ」

「いや、仲良くねぇっす。ただうっさいだけっすわ」

「は?お姉様に向かってなんて?」

「相変わらずやなぁ。まぁ、ゆっくりしてってーや」


ミディアムに焼かれたステーキ肉がお皿に乗せられる。


「ありがとうございます」


新庄さんが俺たちの前から離れ、他のお客さんを接客しだす。

そして他にもサラダが用意され、優香が美味しそうに頬ばっていた。


「あ、そうだ。もうすぐね、パパ帰ってくんの」

「あー…そんな事沙世さん言ってたわ。いつ?」

「来週かな。もう冬休みだしさ」

「あー…もうそんな時期か」

「年末年始にハワイに行くんだけど、翔も行かない?」

「いや、いいわ」

「え、なんで?みんなでさ、たまには羽伸ばそうよ」

「いやぁー…今年はいいわ」

「今年はいいって、どういう事?あ、そか。美咲ちゃんいるもんね。あ、じゃあ一緒に連れてきちゃいなよ」

「……」


連れて行くとか行かないかの問題ではない。

めんどくさい事に巻き込まれて巻き込んで、今はそんな羽伸ばしてる暇もない。


肝心な美咲の気持ちをまだ聞けてはいない。
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