Existence *
「だってそうじゃん」

「否定しても俺が違うっつっても、何も変わってないのが今の現状。じゃ、お前が全部訂正してくれんのかよ」

「は?そんなめんどくさい事するわけないでしょ。ただ私は何でこんなに囁かれてんのか気になっただけよ」

「……」

「別にアンタがホストに戻ろうが戻らないが、どっちだっていいし」

「……」

「私はね、彼女の事が心配になっただけよ。こんなに噂になってりゃ美咲ちゃんの耳にも入ってるでしょ?アンタの事を好き好きってアピールしてる女の声。アンタに彼女が居るって知れ渡った時から、彼女の顔が見たいだとかなんだとか?ほんとそんな話の中に居る美咲ちゃんが心配になっただけ」

「……」

「私が何を言いたいか分かるよね?」

「……」

「引っ張ってないと、離れちゃうよ?」


淡々と話していった優香の会話がまるで映画のワンシーン化の様に他人事のように聞いてしまっていた。

優香が言った言葉が間違ってない、とは言い切れない。


それに今、それが絡んで美咲から距離を置かれてしまった事。

そんな事、優香には言うつもりはないが俺からの正解の答えなんて見つかる訳でもなく、何も言い返せなかった。


優香を送って、マンションに帰る。

冷蔵庫から取り出したビールの缶を開け、それを一気に飲み干した。


何も考えたくないように飲む事しか出来ず、あれから美咲からの返事など何一つもない。

待ってても美咲からの連絡なんてないと分かっている。

俺から出向かわないと、美咲からの返事などないと分かっている。


だけど、なぜか気が進まなく行動に起こせずにいる。


そんな毎日が過ぎ、帰って飲んで帰って飲んでの毎日に疲れてきたって言うのが事実で。

その毎日もそろそろ終わりにしないといけないと思っていた。


美咲の所に一度、出向かわないと。と、そう思っていた矢先のことだった。
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