Existence *
「なんか俺に用か?」


見つめる先の美咲はただ俯いたままで、顔を上げようともしなかった。

なんで俺と美咲は別れたんだろうか。

なんで俺は美咲の意思に従ったのだろうか。

たらればが繰り返す思考の中、正解な方向へと考えを探し出す。


俺の所為で。

俺の至らない所がありすぎたから。


だから美咲は悪くない。

むしろ俺から離れた方がずっと美咲は幸せになる。


いっその事、俺の事を見たくないほど嫌ってくれるほうがずっといい。

その方が楽。


「…病気って…」

「え?」


小さく呟かれた声に反応する。


「何で入院してんのかなって…」


それを言う為にここに来たのか?

ちょっとは変な期待をしていた俺も馬鹿だった。

より戻そうって、美咲の口から吐き出されるんじゃないかって、そんな淡い期待を抱いてしまっていた自分が馬鹿だった。

そんな訳ねぇよな。

だったら尚更ここへは来んな。


「それって言わなきゃいけねぇの?」

「え?」


素っ気なく吐き捨ててしまった俺の言葉に美咲の顔が上がり、その瞬間に俺は美咲の視線を避けた。


「それを美咲に言ってどうにかなんの?」


なんもなんねぇだろうが。

お前を忘れるために飲んでたって馬鹿みたいな事言ったら、お前は俺の所に戻ってくんのかよ。

戻って来ねぇだろうが。

だったらマジで帰れ。

むしろ、こんな姿見せたくねぇし。


「どうにかって…」

「正直、来られると迷惑」

「……」

「俺、時間かかんだわ。お前、忘れるのに…」

「……」


むしろ、少しだけ美咲を忘れて考えないようにと、やっと出来た所。

1ヶ月近く経って、ようやく少しづつ忘れかけていたのに…


なのに、また何もかもを。

全てを、思い出してしまった。


お前は何のつもりでここに来たのかは知らねぇけど、まじで迷惑。
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