Existence *
「は?余計なもん、いらねぇから」


まさに今、この本を持ってきた流星に言葉を返す。

ほんと、まじでこれは余計なもんとしか思えなかった。


「余計かどうか確かめろって」


めんどくせぇな、と心の中で呟き、俺は視線を上げる。


「え?」


小さく声を漏らしたのは言うまでもなかった。

目の前には何故か美咲が居る。

うわー…まじで余計だわ。

なんて言葉は吐き捨てられない。

むしろ今、なんでここに来た?

何の為に?


まじで流星、余計なもん連れてくんなや。

流星にとったら俺と美咲が喧嘩をしてるからと思って連れて来たんだろうけど、もうそういう状況ではない。

むしろ俺はこの何日かの入院生活で美咲を思い出すことはほぼなかった。


来たらまた思い出す――…


完全に忘れ切った訳ではない。

忘れようとしているだけ。


時間が、かかる。



「あー…俺、邪魔か。翔、また改めてくっから。…じゃあな」


なんなら美咲も持って帰れよ、なんて思ってしまった。

まじで顔見たくねぇな…

むしろこの入院してる姿も見られたくねぇわ。


まじで…何の為に来た?


「…元気か?」


来たにも係わらず無言を突き通している美咲に声を掛ける。

もうあれから1ヶ月近くは経つのだろうか。

久しぶりに美咲を見たら、また俺の感情が乱れ始める。


好きが、ぶり返す。


「…うん」


小さく呟く美咲の声を聞いて、視線を美咲に送ると、さっきまで読んでいた本に美咲は視線を向けていた。

よりによって、こんな本がある時に…

その本を手に取って引き出しに入れ、再び美咲に視線を送った。
< 279 / 300 >

この作品をシェア

pagetop