君が大人になった時、もしまだ俺のことが好きだったなら・・・

青春というやつ

月曜日。
また1週間が始まる。

職員朝礼で男子バレー部が準優勝、女子バレー部が3位だったことを知った。

一昨日挨拶をした教員は昨日も観戦に行っており、女子の準決勝相手が優勝したこと。
対戦の組み合わせ次第では2位もあり得えたこと。
基本的には3年はこの試合で引退となることを教えてくれた。


俺は昨日は観戦に行かなかった。
負けたと聞いて行かなくてよかったと思ってしまった。
きっと負けた部員たちは号泣していただろう。
それを2階席の離れた場所から見るのは居た堪れない。
全く知らない彼らの努力を想像しただけで無理だ。
苦しすぎる。



「先生」
職員室から教室に向かっている時に声を掛けられてた。
振り返ると体育教師の伊達先生がいた。

「おはようございます、伊達先生」
「おはようございます。先生、土曜日応援に来てくださってたんですね」

確か伊達先生は女子バレー部の顧問のはずだ。
「ええ。とてもいい試合を観させていただきました。 
ですが、女子バレー部は残念でしたね」
「そうですね。
どの高校も一生懸命練習をしていたと分かってはいるんだけど、やっぱりうちの子たちに勝たせてあげたかったですね」

「3年生はこれで引退ですか?」
「何人かは冬まで残りたいとは言ってますけど、入試のこともあるし、まだわかんないかんじですね」
「そうですか」

「先生もバレー経験なんですか?」
「え?僕ですか?」

「ええ。試合を観にきてたから、そうなのかなと」
「体育でやったことがあるくらいですよ。 一昨日は顧問をしている部活のイベントが近くのショッピングモールであって、その帰りに寄ってみたっていうだけでして・・・なんか、すみません」

「すみませんって、謝るとこじゃないですから。 
で、部活って何部なんです?」
「ジャグリング部です」

「ジャ…ジャグリング?」
「知りませんか? 四角い箱を・・・こう・・・」

「あー、知ってます。
文化祭でやってるとこ見たし」

・・・デジャブ?
ついこの間、小林さんにも似たような反応をされたぞ?
バレー部の反応はみんなこうなのか?


 キーンコーンカーンコーン


予鈴が鳴った。
「あ、ヤバ。それじゃ」
そう言って伊達先生は踵を返した。

「あ!そうそう!」
伊達先生の声に足を止めて振り返る。

「応援に来てくださってありがとうございました!
な生徒たちも喜んでました」
ああ、これを言いたかったのか。

納得をして、手を振って走っていく伊達先生の後ろ姿を見送った先から、走って来る制服が見えた。
それは小林さんと三橋さんだった。

「おはよ、先生!」
「おっはよー!」
「おはようございます」


・・・顧問も部員も月曜日の朝っぱらから賑やかだな。

昨日の敗戦はもう吹っ切れたのだろう。
スカートを振り乱して走って行く二人を見つめながら、ああ、これが…

「青春ってやつか」
と思った。


担任する教室のドアを開け、教卓の前に立った。


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