この命のすべてで、君を想いたい
放課後、帰り道に沙月と二人きりになった

「ねえ、今日のお昼の雫、空くんにちょっと素っ気なくなかった?」

沙月が声を潜めて聞く。
一瞬で胸がぎゅっとなる。


普段通りを装いながらも、心の奥では昨日のことがちらつく。

『うーん……別に、なんでもないよ』
私は濁して答え、視線を床に落とす。


沙月は眉をひそめるが、無理に突っ込む様子はない。


「そう……まあ、いいけど」
少し笑い、話題を変えてくれる。

沙月の気遣いに、胸の奥が少しだけ軽くなる。
昨日のことは誰にも言えない。



過去の自分を、沙月に知られるわけにはいかない。
嘘を重ねるしかない自分に嫌気がさした。


< 31 / 310 >

この作品をシェア

pagetop