この命のすべてで、君を想いたい

二人が重なる瞬間

春の柔らかな日差しに包まれた週末、

雫と空は小さな温泉旅館に到着した。



桜は散り始めていたけれど、
まだほんのりとピンクの花びらが枝に残り、二人の足元にふわりと舞い落ちる。


雫は手をつなぎながら、空と一緒に歩くことが、こんなにも安心で幸せなのだと胸の奥で感じていた。


旅館に着くと、受付で簡単に手続きを済ませ、静かな和室へ通される。



木の匂い、
畳の感触、
窓の外に見える庭園。


雫は息を呑み、思わず目を輝かせた。


「すごい、いいところだね」


『うん、感動』


空は微笑んで雫の手を握り返す。


指先が触れるたびに、心の奥がじんわり温かくなる。


小さな旅館の部屋に、二人だけの時間が流れ始めた。


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