花に溺れ恋に純情~僕様同期御曹司の愛が私を捕らえて離さない~
 バスに乗り込むときも乗り込んだ後も、この物語の主人公は僕ではない誰かだ。みな、地元が同じアメリカ人で昔馴染みで僕には分からない話で盛り上がっている。日本と違って多国籍で肌の色が違う面々が屈託なく喋っている。共通するのはみなボストン訛りの英語を喋るということ。学生同士というものは、どうしていつまでも飽きずに喋れるのだろうと不思議だったが、共通項があるということはこんなにもひとを明るくする。

 僕には参加出来ないドラマが目の前で展開されている。

 アメリーがプロムに着ていくひとをもう決めた、ドレスも決まっている、アンディが誘われずこじらせている……その程度のことなら留学して一ヶ月程度の僕にも分かる。

 K学園の幼稚舎にいる頃から僕は常にひとに囲まれており、いわゆるAグループの少年だった。爪弾きにされたことなんていままで一度たりともないし、どこにいたって自分が主役だった。


 それが、いまは……。

 砂を噛むように歯がゆい。しかし、自分で決めたことなのだから最後までやり抜きたい。
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