花に溺れ恋に純情~僕様同期御曹司の愛が私を捕らえて離さない~
 神宮寺財閥の御曹司たるもの、留学するならK学園の提携校と相場が決まっているというのに、その伝統に逆らってまで成し遂げるべき偉業なのだ。世界に名高い、一流のビジネスパーソンが所属するマンドリルクラブからの交換留学生としてならと、なんとか両親の許可を貰えただけに、下手に、途中で泣いて帰ることなど許されない。

 一介のモブとして沈黙を保ち、学校への到着を待つ。

 スクールバスが学校の前に到着するとみんな、弾けるように飛び出す。連れ立って和気あいあいと。

 彼らの物語のなかに僕はいない。淡々と前に進むほかない。

 それでも、あまり極端に離れ過ぎると目立つので、彼らとある程度の距離を保ちつつ学校へと入る。真っ先に行くのはロッカーだ。南京錠より大きな、アメリカの学校に特有の重たい丸い鍵でロッカーに鍵をかける。それを開いて、バックパックから今日使わないテキストを取り出してロッカーに戻し、今日使う分を持ち出す。
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