花に溺れ恋に純情~僕様同期御曹司の愛が私を捕らえて離さない~

思い出を辿って

 日本海の海と一口に言っても、故郷緑川で見る海と、海野小島から眺める海の色は異なる。

 能登の海のほうが深い、緑がかった青い色をしていて、一方で、海野小島の海は澄み渡っている。テレビで見る外国や沖縄の海のようで。小石の隙間で水が遊んでいる。この石の敷き詰められた海岸に、来た記憶がある。記憶というより体感で覚えている。

 この潮の香り。緑川のとはまた違ったすこし澄み渡った空を思わせる、フレッシュな香り。緑川の海岸はもっと、腐ったものが入り混じった異様な香りがするときがある。海の向こうの国からプラスチック容器が辿り着いたりしている。その昔、緑川の海にいると北朝鮮に連れ去られるぞ、なんて祖父母世代が言っていたものだが、あれが本当だったと知るのは自分が小学生だった頃の話。

 時々、現実のほうに違和感があって現実味がなかったりする。実際に起きたことなのにファンタジーで描かれる絵空事のように感じられることがあるのだ。例えば、いま起きている戦争など。国と国がいまだにいがみ合って戦いを続けている。

 無意味で――無目的な。
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