花に溺れ恋に純情~僕様同期御曹司の愛が私を捕らえて離さない~
 この三ヶ月の恋生の態度を思い返そう。彼は、私を責めることなど一切しなかった。本当に、優しくしてくれた。彼氏でもないのに、色々と世話を焼いてくれて……名門財閥の御曹司なのに、あんな安アパートに毎日仕事帰りに立ち寄って、甲斐甲斐しく世話を焼いてくれて。

 私が恋生だったらそこまで出来ただろうか? 分からない。

 恋生がそこまでしてくれる理由の裏付けにあの頃の旅が隠れているはず。――知りたい。

 静かにさざめく、透明な青の海を前に思う。

「もっと……知りたい」

 *

 お花畑を踏みしめる靴底越しの感触。草木の特有の匂い。田舎を思わせる。

 美術館近くのベンチにハンカチを敷いて、午後ティーを飲みながらすこし休んでいる。こうしてぽかぽかお日様のひかりを浴びているとこの世の戦争などなかったかのように思えてくる。原発の事故も。恐ろしいパンデミックも。

 こうして平和に世の中が流れているように見えても、裏で血を流し涙するひとたちがいるのだ。
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