花に溺れ恋に純情~僕様同期御曹司の愛が私を捕らえて離さない~
 池水恋乃のことを思い返す。どのタイミングであの状態になったのか。そこまでは分からなかった。図書館などで過去の新聞記事を辿れば見つかるだろうか……いや。なんだか気が引ける。遺伝性の病気であれば恋生にも関係することなので調べる必要はあるのだが。

 恋生に、留守にすることはLINEで伝えたが、ちゃんと顔を見て目を見て話せたわけではない。私の一存で勝手にしていることだ。責任は私にあるし、私が負うところであるが、やましいことはしたくはない。

 美術館の外観を改めて見てみるとやはり、田舎に突然現れた宇宙船のような風貌だ。ただ、室内はどこか、恋生宅に似たものを感じさせた。無駄を徹底的に省き、美しさを追求し、意匠を重んじる点において。相違点といえば、美術館内が無機質で硬質的な一方で、恋生宅内には花や植物があって、あたたかみを感じさせる。ここでは、花畑がその役割を担っている。花を見て草木に触れると人間は元気になれる。

 シロツメクサで花のかんむりを作っている少女を見てなにか――引っかかりを覚えた。

 家族連れでレジャーシートを敷いて。楽しそうに、サンドイッチを食べて笑いあって……。
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