花に溺れ恋に純情~僕様同期御曹司の愛が私を捕らえて離さない~
 別に、自分が日本人であることにこだわりはないけれど。ただ、先人が苦労して育て、税を納める土地を異国の人間に踏み荒らされていると感じるのは、私の思想が古いからか。

 税金はあがるばかりで、少ない人数でどんどん老いていく老人たちを私たちが支えなければならない。この社会を作ったのはいま老いたひとたちだし、それこそ、戦後、焦土と化した日本をこれだけ近代的な国家に生まれ変わらせたのは、私の知らない人々の偉業だ。

 先を行く母の小さな背中を見て思う。また……小さくなった。

 身長が百四十センチ台の母は自分が小さいことを自虐しており、私は中学生の頃に母の身長を追い抜いた。お母さん毎年小さくなっておるさけ。若竹のようにすくすくと育つ娘を見て母はなにを思ったのだろう。

 死ぬことが怖い。年を取るとどんどんその恐怖は薄れていくという。

 自分がどんな死に方をするかなんて考えたくもないし、先ずは、自分の生活を立て直すのが先決だというのに。この町はあまりに辛い。老いた母。震災で崩れた町。焦土と化して復興のめどが立たない朝市。
< 140 / 259 >

この作品をシェア

pagetop