花に溺れ恋に純情~僕様同期御曹司の愛が私を捕らえて離さない~
「おお、大きくなったなぁ」

 ベンは早速娘さんの写真を送ってきた。……いいなあ。僕にも、いつか、こんな未来が訪れるといいのにな。素敵な妻と子どもに恵まれて……。

「焦るな。焦るな」

 自分の手首を押さえる。きみにはきみのペースがあるんだからそれを尊重しないと。僕たちはまだ二十代半ば。チャンスなんていくらでもあるんだから。

 そうは言っても、time flies. 時間は飛ぶように過ぎていく。きっと三十代も四十代も瞬く間に過ぎていくのだろう。

 早朝から現地とのミーティングが入っていたためランニングが出来ずうずうずする。ここは着替えてひとっ走り行ってこよう。

 *

 早朝にも関わらずビジネスパーソンの数は多い。大都会のビルの谷間を縫って歩く、朝から険しい顔をした、雇われびとたち。僕は素知らぬ顔をしてランニングウェアに身を包み足を走らせる。鼓動。息遣い。生きている意味の尊さ。すこしずつ朝晩の寒暖差が激しくなってきた。こういうときは、無茶苦茶に走りたい。がーっとドッグランを走る犬みたく走りこむ。
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