花に溺れ恋に純情~僕様同期御曹司の愛が私を捕らえて離さない~
 空気が澄み渡っている。車の数が少ないが、信号には結構捕まってしまい、足踏みをする。……なにか。

 動いているんだろうとは感じる。

 だが、どこまで辿り着けるのか。そこまでは分からない。

 まあいい。泳がせておこう。きみが……どんなふうに泳ぐのかを僕は見たい。どうやって、どのように、真相へと届くのだろう。

 最近読む昭和の財閥ものの小説の中身が思い出される。あの頃とは違い、マンションも土地の価値も高まり、御曹司であってもマンション住まいが当たり前となった。邸宅に住むのはいいが、やはり、交通の便が悪いし、セキュリティ面でも心配が残る。

 きみとずっとずっと過ごしていくためにあの暮らしを選んだ。

 間違いじゃなかったな、なんて、ビルとビルの間から覗く眩しい朝焼けを見て思うんだ。――あの日も、こんなふうに、太陽は眩しかった。時と場所が違えど、太陽はいつも変わらず輝いている。ただの常識に過ぎないけれど、当たり前の日常が僕たちにとって価値があるんだ。

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