花に溺れ恋に純情~僕様同期御曹司の愛が私を捕らえて離さない~
 棚のあんな分かりやすいところに置いていたことからすると、恋生は、私がこの答えをはじき出すのを待っていた、いや、そう誘導していた。

「写真こそありませんでしたが。……あなたは用心深い人間のようですから……。記事は、あなたの中学時代からの活躍を扱ったもので、スピーチコンテストで優勝。ボランティア活動に貢献。新たな事業を立ち上げた……様々な記事があり、記事を通して私は、あなたへの理解を深めていきました」

「そう? それであなたは、それを伝えるためだけにここにわざわざ?」

「いえ。実際あなたをこの目で見て、感じたかったのです。他人の与える二次情報ではなく、自分の目で感じて、実際お会いして、あなたがどんなかただというのを、この目で感覚で確かめたかった」

「そう。……まぁ、わたくしのほうも同じね。恋生が長らく恋をしているお相手のことは大体分かってはいましたけれど。会うのは十五年ぶりかしらね。幼い頃とはやはり印象が異なりますし、いまの恋生がどんな相手を選んでいるのか。わたくしもいずれ、あなたとは直接お会いしたかったのよ」

「ええ。最後にひとつ質問です」

 じっと耳を傾ける恋乃に、

「いま、あなたは、その目でもう一度恋生を見たいと思いますか?」
< 83 / 259 >

この作品をシェア

pagetop