花に溺れ恋に純情~僕様同期御曹司の愛が私を捕らえて離さない~

西へ

 抜けたやつの穴なんか二週間あればとっとと埋まる。

 それは確かに事実なのだが、ただ、その際にとんでもなく現場は疲弊する。

 俺はただそれを見ているだけ。特に出来ることはなにもない。

 うちの会社のここに常駐するチームは、裏でKの軍隊と呼ばれている。毎年一定数の新卒が人柱となり配属され、全員揃って潰れていく。生き残るのは、スキル不足の片岡のような、厚顔無恥で図太い連中ばかり。センスのいいやつは大概、からだが先かこころが先か。IT系は特に鬱の多い業界で今更誰がいつどこで病もうが誰も気にやしないしいつも通り人事が応対するのみ。

 川瀬花子は惜しかった。筋のいい若手だった。あくまで彼女自身を評価するならば、優秀なプログラマーではあった。あれほど技術のある若手を手放したことが惜しまれる。

 若手は仕事の加減が分からず、自分で背負い込む傾向にある。例に漏れず川瀬花子もそのタイプで、ふたりBPを下につけたところ、見事に潰れた。部下をつけてわずか半年足らずの出来事だった。
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