花に溺れ恋に純情~僕様同期御曹司の愛が私を捕らえて離さない~
 ある程度面の皮が厚くないとうちの業界ではやっていけない。どんなに本人が優秀であろうが、ひとを使うことの出来ない連中に、リーダーを名乗る資格はないと俺は考えている。

 休職に入った川瀬も、果たしていまの空の色を無事に拝めているだろうか。悪くはない子だった。ただ、正義感が強すぎて、仕事を任せるのが下手すぎるだけだった。彼女自身に罪がないとまでは言いきれないが、上長としてコントロール出来なかった俺にも責任の一部がある。

 煙草が染みる。こんな、やけに空が冴え冴えと青く澄み渡った日なんかは、踏みつけられたがれきの下に埋もれたかつての新人たちはいまごろなにをしているやらと、煙草の煙を吹かしながら考えを巡らせる。こういうしんどいときに煙草なんか吸うとやけに染みる。生まれて初めて煙草を吸ったのは学生の頃、体育館の裏で先輩たちに混ざって、だったな。

 川瀬花子は煙草を吸う連中を毛嫌いしていた。煙草を吸う連中は好き勝手に離席をし、電話がかかってきても突然不在にするものだから、川瀬は嫌な顔をしていた。煙草を吸う連中がずるいと裏で言っていたと聞いたこともある。
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