⁂👑☆『 天からの贈りもの』―― 新しい愛を見つけ、私たちを捨てて意気揚々と家を出ていった元夫が やり直したいと縋ってくるのですが──。今更そんな無茶振りを言って困らせないでください~
33. ◇深い悲しみに覆われた貴理の姿


~~ 大山貴理はどうなったのだろうと気にしたその内容から ~~



 六田亜矢子は夢の中で思った。
   

 香織は幸せになったんだぁ~。
 あぁ最初はどうなることかと固唾を呑みながら夢を見ていた。

 それと共に香織になっていた自分は、今まで経験したこともないような
屈辱と悲しみを経験した。

 あんな悲しみはもう2度としたくないと思った。
 不思議な感覚だった。

 夢の中で自分は香織だった。

 けれども所々で意識が現世に近くなるのか、六田亜矢子として
夢の概要を俯瞰している自分もいた。

 そして、まだこちらに戻ってはいない六田亜矢子は、
夢を見つつふと思った。


 大山貴理……貴理はどうしているだろう、と。

 両親の介入により、啓吾を捨てた形になった貴理。
 貴理を追いかけていくと貴理の様子が見えた。


 もう香織としてではなく、夢の傍観者である六田亜矢子として
その様子を垣間見ることができたのだった。

 彼女は怪我で啓吾が去ったあともあの調剤薬局に勤めていた。
 彼女の近くには高齢の男性の顔が見えた。

 おそらく啓吾の後釜だろう。
 残念なことに、その後、妙齢の男性は入ってこなかったようだ。



33-2

 もっと顔をちゃんと見たいと思っていると貴理のはっきりとした輪郭が
見えた。

 とても寂しそうな顔をしていた。

 生きることに疲れ、ヤル気のないオーラを纏う彼女がそこにいた。


 彼女は今どんな心境なのだろう?
 そう考えていたらすーっと彼女の心の中が分かった。

 なんで? 
 彼女の心が分かるの? 

 不思議、何この現象。
 六田亜矢子は戸惑いを隠せなかった。

 その時の貴理は、啓吾が職場を去って1~2年が過ぎていた。
 はっきりとは限定できなかったけれども……。

 
 貴理の心は最愛の人を捨てた悲しみと後悔で渦巻いていた。


 子供と年老いた両親がいる身では、どうしようもなかった。
 ほんとうに? 


 何か彼の助けになれる他の方法はなかった?
 貴理の思考は毎日毎日悲しいくらいループしている。


 大山貴理は、やっと女としての幸せを掴めそうだったのに……
掴みそこねてしまった。


 六田亜矢子は、貴理の心の中に入ったため、その悲しみに
共鳴してしまう。


 身震いするほどのどっと深い悲しみ、苦しみに襲われた。

 もういい、もう。
 早くこの夢から離れたい……目覚めたい。


 強い意志で夢から抜け出そうとした。

 そして長いながい白昼夢から六田亜矢子はようやく目覚めた。

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