⁂👑☆『 天からの贈りもの』―― 新しい愛を見つけ、私たちを捨てて意気揚々と家を出ていった元夫が やり直したいと縋ってくるのですが──。今更そんな無茶振りを言って困らせないでください~
40. ◇ヘタレ過ぎ 

 一方英のほうはというと、亜矢子の推測通り、新しい妻との生活に心が
向いていたことも理由のひとつで、来月こそ会いに行こう、この次こそはと
思いながら、結局は真樹夫に会いに行くのがずるずると先延ばしになって
しまっていた。

 実は理由はひとつではなかった。
 そのうち景子との間にも子供ができるという頭があったことも否めない。

 また英自身、父親になりきれていなかったことも原因のひとつと
言えたかもしれない。

 
 亜矢子がいつでも会いにきてやってと言ってくれたこともあり、
ついつい、そのうちにと気が緩んでしまったということもあったのかも
しれない。


 いつでも会いたければ会える、そのことで慢心していたのかもしれない。

 そうこうしているうちに、仕事で渡米してしまい、こちらの生活に慣れるのに
必死で、しばらくは息子のことなど思い出すこともなく過ごしてきた。


 だが自分も年を重ね、周りの同僚達が次々と家庭サービスするようになると、
職場でもプライベートでも子供の話題が多くなってきた昨今、英は子供を持ちたい
という気持ちが日増しに強くなっていくのだった。

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 だからこの頃になると、亜矢子の手元に残してきた真樹夫のことも
気にならないわけではなかった。

 いや、俄然気になり始めていた。


  しかし……だ。
  ついつい……いつでも会えるからと放置していた真樹夫との面談交流。

 7年が過ぎていた。
 3才だった真樹夫はきっと自分の顔など覚えてはいまい。

 3才~10才までの子供時代の7年間、一度も会わなかった過去は、余りに
大き過ぎた。息子に会いたい、けれど心が怯んでしまう。


 別れた時には3才になったばかりの息子は、今では10才の小学4年生になる。


 どんな風に声かけをすればいいのか。
 今まで会いに行かなかったことを、どのように説明すればいいのか

 今更どんな言葉で、どんな顔で、息子に会いに行けばいいのか術がなかった。



 会いたい、触れ合いたい、けれど……足を向けられない意気地のない自分。

 ことのほか、ヘタレな自分が滑稽だった。

 7年目にして葛藤する英であった。
 
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