恋愛アルゴリズムはバグだらけ!?~完璧主義の俺が恋したらエラー連発な件~

第17話 最終プログラム実行:ついに告白

学内研究発表会当日。



 俺──田中優太は、朝早くから研究室で最終準備に追われていた。



「システムチェック完了……」



 恋愛診断システムは完璧に動作している。画面には色とりどりのハートマークと、親しみやすいUIが表示されていた。



「田中先輩、緊張してますね」



 歩美が俺の様子を見て微笑んだ。



「そうかな?」



「はい。いつもより早口ですよ」



 確かに、今日は特別な日だった。自分たちの作ったシステムを、初めて多くの人に見てもらう。



「でも、きっと成功しますよ」



 歩美の励ましに、俺は少し落ち着いた。







 午前10時、学内研究発表会が始まった。



 会場には他学科の学生や教員、さらには外部からの見学者も来ていた。



「おお、人多いな」



 大輔が会場を見回しながら言った。



「緊張する……」



「大丈夫だ」



 高橋先輩が俺たちを励ましてくれた。



「準備は完璧です。あとは自信を持って説明するだけです」







 俺たちのブースに最初にやってきたのは、文学部の女子学生だった。



「恋愛診断システム……面白そう」



「ありがとうございます。よろしければ体験してみてください」



 俺が説明すると、彼女は興味深そうに画面を見つめた。



「20の質問に答えるだけで、恋愛タイプが分かるんですか?」



「はい。心理学に基づいた診断です」



 歩美が専門的な説明を加えた。



「愛着理論と恋愛スタイル理論を組み合わせています」







 診断を受けた女子学生の結果は「共感型」だった。



『あなたは相手の気持ちを理解することが得意です。

深い関係を築くのが上手ですが、時には自分の気持ちも大切にしましょう。』



「すごい! 当たってる!」



 彼女の反応に、俺たちは安堵した。



「友達にも教えてあげる!」



 彼女は興奮して仲間を呼びに行った。







 口コミで評判が広がり、俺たちのブースには長い列ができた。



「こんなに人気になるとは……」



 俺は嬉しい驚きを感じていた。



「やったじゃん、優太」



 大輔も興奮していた。



「みんな楽しそうに診断受けてるぜ」



 確かに、診断を受けた人たちは皆笑顔だった。



「これが、技術で人を幸せにするということか」





 昼過ぎ、予想外の人物がブースを訪れた。



「田中くん、面白いシステムですね」



 振り返ると、山本教授が立っていた。



「教授!」



「実用性もあって、技術的にも興味深い」



 教授は画面を見ながら言った。



「心理学との融合も良いアイデアです」



 歩美が嬉しそうに頭を下げた。



「ありがとうございます」







「私も試してみても良いですか?」



 教授の提案に、俺たちは緊張した。



「もちろんです」



 教授の診断結果は「指導型」だった。



『あなたは相手の成長を支えることが得意です。

長期的な視点で関係を築き、相手を導く力があります。』



「なるほど、面白い」



 教授は満足そうに頷いた。



「これは学会で発表してみてはどうですか?」





 午後3時頃、静香がブースにやってきた。



「お疲れさまです、皆さん」



「静香!」



 俺は思わず声を上げた。



「見学に来ました。すごい人気ですね」



「おかげさまで」



 静香は俺たちの活動を嬉しそうに見ていた。



「田中さんたちが作ったシステム、私も体験してみたいです」





 静香が診断を受けている間、俺は緊張していた。



 結果は「支援型」。前回と同じだった。



『あなたは相手を理解し、支えることが得意です。

包容力があり、安定した関係を築けます。』



「やっぱり当たってますね」



 静香は微笑んだ。



「田中さん、少しお時間ありますか?」



「え?」



「大切なお話があります」







 静香に連れられて、会場の静かな場所に移動した。



「田中さん、今日のシステム、本当に素晴らしかったです」



「ありがとう」



「みなさんで協力して、多くの人を笑顔にしている」



 静香の表情は真剣だった。



「実は……提案があります」



「提案?」



「このシステム、もっと多くの人に使ってもらいませんか?」







「具体的には?」



「ウェブサイトで公開するんです」



 静香の提案に、俺は驚いた。



「でも、そんな大きなことを……」



「私、実はウェブデザインが得意なんです」



「え?」



「図書館のバイトも、実はシステム管理の手伝いもしてるんです」



 初めて知る静香の一面だった。



「一緒に、もっと大きなプロジェクトにしませんか?」







 静香の提案は魅力的だった。



「でも、俺たちにそんな大きなことができるかな?」



「大丈夫です。今日見ていて確信しました」



 静香は俺の手を取った。



「田中さんの技術と、みなさんの知識があれば、きっとできます」



「君がそう言うなら……」



「それに……」



 静香は少し照れながら言った。



「私も、田中さんと一緒にプロジェクトをやってみたいんです」







「一緒に……?」



「はい。恋人としてだけじゃなくて、プロジェクトパートナーとしても」



 静香の提案に、俺の心が躍った。



「それは……素晴らしいアイデアだ」



「本当ですか?」



「ああ。君となら、もっと大きなことができるかもしれない」



 俺たちは微笑み合った。







 その日、恋愛診断システムは大成功だった。



 200人以上の来場者が診断を体験し、満足度は90%を超えていた。



「みんな、お疲れさま」



 高橋先輩が労ってくれた。



「素晴らしい成果でした」



「本当に楽しかったです」



 歩美も充実した表情だった。



「みんなが喜んでくれて、私も心理学をやっていて良かったと思いました」







「で、今度はウェブ版か」



 大輔も静香の提案に興味を示していた。



「俺もデザイン頑張るぜ」



「私も、もっと詳しい心理学的分析を追加したいです」



 歩美も意欲的だった。



「みんなでやれば、きっと素晴らしいものができますね」



 高橋先輩も賛成してくれた。





 その夜、俺は新しいファイルを作成した。



【Love Type Analyzer Web Project】



メンバー:

- 田中優太:システム開発・プロジェクトリーダー

- 山田静香:ウェブデザイン・パートナー

- 石倉歩美:心理学監修

- 鈴木大輔:UI/UX設計

- 高橋健:プロジェクト統括



目標:

多くの人の恋愛をサポートし、幸せなカップルを増やす



「これが、俺の新しい恋愛アルゴリズムの形か」





 翌日、俺は静香と今後の計画を話し合った。



「プロジェクトパートナーとしての君も見てみたい」



「私も、田中さんの新しい一面を知れそうで楽しみです」



「恋人同士で仕事をするって、うまくいくかな?」



「大丈夫です」



 静香は微笑んだ。



「私たち、お互いを理解し合えてますから」





 研究発表会から一週間後、俺たちの新しいプロジェクトが本格的に始動した。



「恋愛診断システムのウェブ版開発、開始!」



 研究室には新しい活気が生まれていた。



 個人の恋愛の悩みから始まった俺の「恋愛アルゴリズム」は、今や多くの人を幸せにするプロジェクトに発展していた。



「これからどんな発展があるのか、楽しみだ」



 静香と手を繋ぎながら、俺は未来への期待に胸を膨らませていた。



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