日々の輝き .

15日目

十五日目の木曜夕方。
冷たい風が一段と強くなり、街の灯りが早くともり始めていた。
いつものように、秀人は18時ぴったりにコンビニ前へ向かった。
けれど、そこに浪の姿はなかった。

ベンチの上には、昨日の落ち葉がそのまま積もっている。
いつもなら、そこに浪が腰を下ろし、何も言わずに缶ジュースを2本両手で温めているはずだった。
秀人は立ったまま周囲を見回す。
コンビニのドアが開くたびに人の声が漏れるが、どれも浪のものではない。

仕方なくベンチに腰を下ろし、ポケットの中のスマホを取り出した。
画面を点けると、18時05分。
一度消して、また点ける、18時12分。
その光が手元と顔を淡く照らし、寒風が頬をかすめた。

「少し遅れてるだけかもしれない」
そう思ってもう一度、スマホを点ける。
18時20分。
指先が冷えてきて、画面の明かりがやけに遠く感じた。

時刻が22分が過ぎた頃、秀人はようやく腰を上げて歩き出した。
道の途中、ポケットの中でまたスマホを点けた。
時刻は18時37分。
意味のない確認だとわかっていながら、何度も光を見てしまう。

「もう、あんま来ないかも」
昨日の浪の言葉が、冷たい空気の中でふいに蘇る。
軽く言ったように聞こえたけれど、本当は違ったのかもしれない。

信号待ちで、秀人はもう一度だけ振り返る。
街灯の下のベンチは空のまま。
当たり前の静けさが、今夜はやけに胸に刺さった。
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