日々の輝き .

1日目下

ベンチに座ったまま、浪は通り過ぎる人や車のライトをぼんやり眺めている。
隣に立つ秀人は、無理に話しかけず、少し距離を保ったまま様子を見ている。
その静けさが、奇妙に落ち着く。

「ここ、よく来るのか?」
低く響く声に、浪は肩をすくめ、軽く笑う。
「いや、たまたま」
短い返答に、秀人は無理に何かを引き出そうとはせず、ただ視線を合わせる。

ネオンの光が二人の影を地面に揺らし、夜風が通り抜ける。
街のざわめきは遠く、目の前の時間だけが静かに流れるようだった。
秀人は少し距離を詰め、落ち着いた声で言う。
「一人でいるのも悪くないけど、危ないことはしないでほしい」

浪は答えず、フードを深く被り直す。
その仕草には軽い反抗のようなものもあるが、興味や探りの気配も感じられた。
秀人は笑わず、静かに見守るだけだった。

時間がゆっくり過ぎる中で、二人の間に微妙なリズムが生まれる。
言葉は少なくても、互いの存在を確かに意識していることが伝わる。

やがて浪は小さく息を吐き、立ち上がる。
「じゃ、そろそろ」
その一言だけで、今日の出会いは終わることがわかる。

秀人は軽く会釈する。
「気をつけて帰れ」

夜の街の中、何も変わらない光景の中で、二人だけの静かな時間が確かに存在していた。
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