日々の輝き .

8日目

火曜日の夕方、コンビニ前のベンチに浪は腰を下ろす。
フードを深く被り、街の夕陽に染まる景色をぼんやり眺める。
通りを行き交う人々や車の音が、静かに午後の空気を満たしていた。
今日も来て欲しいという期待は、いつしか今日も来るだろうという確信に変わっている。

遠くで巡回の足音が近づき、秀人が姿を現す。
あの落ち着いた歩き方に、柔らかい声が耳に届く。
「今日もここにいるのか」
浪は肩をすくめるだけで応じ、視線を逸らさず見つめる。

ぽつりと口を開く。
「今日は元気?」
秀人は目を細め、くすりと笑う。
「またその質問か、元気だよ」
浪は何も返さず、フードの影に顔を隠すようにして座る。

秀人は自然に隣のベンチに腰を下ろす。
並んで座るのは無理に意識したものではなく、自然に馴染む動作のようだった。
二人はそれぞれの視線で街を眺める。
沈黙は静かで、心地よいリズムを生んでいる。

言葉は短くても、隣に座るだけで空気が柔らかくなる。
浪は表情を崩さず、淡々と前を見つめながら、秀人と同じ時間を共有する。

夕方の光が街を包み、遠くで車の音が響く中、八日目の夕方も、穏やかで落ち着いた時間が二人の時間を進める。
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