気まぐれ王子と召使い
桜木先輩
「ちょっと良い?」
早朝。
教室に行く途中の渡り廊下を渡っていると、後ろから声をかけられた。
声のした方に振り返ると、穏やかな笑みで私をジッと見つめる桜木先輩が居た。
「さ、桜木、先輩……?」
彼女は綺麗な髪をなびかせて誰もが見惚れるような美しい微笑を浮かべる。
「あら。私のこと知ってくれてたのね、嬉しい」
「桜木先輩は2年の間じゃ有名ですから…」
「そう?でも貴女も結構有名人よ、"山吹夕香里"さん」
形の良い唇から、するりと流れるように私の名前が呼ばれる。
なんで私の名前を……と、思わず聞きそうになるが、そんなの理由は一つに決まってる。
「あー……世那関連、ですよね」
「ふふ、そうよ。私が声をかけたのも、それ関連だけど」
でしょうね……
まさか私に声を掛けてくるとは思ってなかったけど、そろそろなにかあると思ってたんだよね。