気まぐれ王子と召使い
「世那のお母さんも、相変わらずだね…」
「あんなの母親じゃないっつーの、赤の他人の方がまだ情が湧くぐらいだ」
「ま、まぁ……そう言いたくなる気持ちも分かるけど……でも、あれだね。世那さんはそんな環境なのに、まっすぐ育ってくれたよね」
世那は私の発言に目をぱちぱちとさせた。
「まっすぐ?どこが?」
「世那さんはまっすぐですよ。結構情に厚い所もあるし、なんやかんや甲斐君のこと友達として大事にしてるじゃん」
「大事にねぇ…」
「甲斐君も世那さんからの友情をちゃんと感じてくれてるよ。だから、あんなに尽くしてくれるんだよ」
本心で言ってるのに、世那は疑い深そうに私を見た。
世那は自分のことを過小評価というか、人情味がない人間と思ってる節があるんだよなぁ。
そうこうしているうちに、母さんがリビングに戻ってきた。
「世那君の布団も用意しておいたわよー。ごめんなさいね、家が狭くて夕香里と同じ部屋になってしまって……」
「何回も泊まってるから慣れてるって、おばさん」
ニコニコと愛想良く笑う世那。
普段はあんなに愛想が悪いのに、人によってこんなに使い分け出来るなんて器用だと感心する。
だから母さんは世那の良い面しか知らないんだと思う。
彼女をとっかえひっかえ替えて、学校での傍若無人な様子を見たら卒倒してしまうだろうな、と考えて笑った。