気まぐれ王子と召使い
興味の失せた瞳と、どうでも良さそうに頭を搔く仕草は何度も見た覚えがあった。



「なんか、だるくなったわ」


「……え?」


「俺達別れよ?今までありがとねー、先輩」



世那は思っても居ない言葉を投げかけて、ヘラりと軽薄な笑みを浮かべた。

桜木先輩はなにが起こってるのかいまいちピンと来ていないみたいで、呆けた顔をしていた。



「…え、別れる……?」


「そー、つかもう別れたから。ほら、さっさと行くぞ下僕」



世那の態度はあんまりだと思う。

一方的に絡んだくせに、別れる時だって一方的だ。
相手の気持ちなんて1ミリも考えてない。全てが自分本位。

でも今に始まった事じゃない。



「先輩……」


先輩はいまだにぽかん、とした顔をしている。

さっきまでは別れ話をしたら泣いてしまうって言ってたのに、まさかこんなに呆気なく終わりがくるなんて思っていなかったのだろう。



「……いつまで待たせんだ、さっさと来いつってんだろ」


「わ、分かったよ」


機嫌が悪そうに私を呼ぶ声が聞こえ、今度こそこの場を後にした。









「……ねぇ、世那」


「あー?」


「桜木先輩のなにが悪かったの?」



世那の後を歩きながらふとした疑問を投げかける。

あんなに綺麗で健気な女性は中々居ないだろうに、なんで別れてしまったんだろう。

世那は私の疑問に当然とばかりに言葉を返した。



「人のモノに勝手に手ぇ出したから」


「はぁ…?なんの話?」


「周りをうろつかれんの嫌いなんだよ」


「だからなんの話?」


「うっせーなぁ。お前がシカトすりゃ良かった話だろうが」



さっきから圧倒的に主語が足りない。

まさかとは思うけど、桜木先輩が私に声をかけたのが気に入らなかったのだろうか?

そんな理由で?


私の心のモヤなど世那には関係ないのか、世那は「彼女とかマジ面倒くせー」と他人事のようにボヤいていた。


< 17 / 166 >

この作品をシェア

pagetop