気まぐれ王子と召使い
「行っちゃった…ホント気まぐれだよなぁ、世那って……」


「気まぐれと言うかワガママというか…」


「夕香里ちゃんは世那と付き合い長いもんな。ずっとあんな感じなのか?」


「え?うん、変だよねえ」



きっとこの世に産み落とされた時からワガママだったに違いない。

私が世那と初めて会ったのは4歳ぐらいの時だったけど、「ちょうど馬車が欲しかったから馬になれ」と初対面でいきなり言われたのを今でも鮮明に思い出せる。

しかもその時から今に至るまで一回も世那に逆らえなかったせいで、"世那の召使い"という不名誉な称号まで貰ってしまっている。

今までの過去を振り返ってげんなりしていると、甲斐君は眩しい笑顔でニコニコと笑った。



「変だけどそこが良いよな、世那って」


「そうかなぁ?」


「うん。なんににも縛られてなくて、自由気ままで…結構世那の事ソンケーしてるんだ」


「……んー……」


全く理解できない。

けど、甲斐君を否定する気もないので曖昧に笑っとく。


甲斐君と話していると、ガラガラーっと扉が開く音がした。

あ、北川先生だ。


「おい、甲斐!他クラスの奴がなに入ってきてるんだ!」


「やべっ!じゃ、世那によろしく!!」


「あ、うん」



北川先生の怒号に焦ったように教室から出ていく甲斐君。

そして、当たり前のように北川先生は私の方に視線をずらす。



「山吹……」


「は、はい……」


「世那の姿が見えないが、アイツはどこに行った?」


「ちょ、ちょっと、急用で席を外すと……」


「あの馬鹿は……!何度言ったら気が済むんだ!!」



案の定北川先生の怒りが大爆発。

教卓をバンッ!!と思い切り叩いたと思ったら、急に小テストをやるとか言い始めた。

いつもこうだ、世那が居ないのにムカついて私達に八つ当たりする。


そんなに怒るなら自分で探しに行けば良いのにねえ。


< 4 / 166 >

この作品をシェア

pagetop