気まぐれ王子と召使い
喧嘩勃発
「涼井世那はいるか?」
帰りのHRが終わり、皆が帰宅しようとしている所。
突然、教室内に響くように発せられた声に一同にドアの方を向く。
ドアの方を向くと、そこには教室のドアの前を陣取るように堂々と立つ男子生徒がいた。
「……あ?誰お前……」
世那は彼の問いに応えるように面倒臭そうにドアに視線をよこす。
その男子生徒はつかつかとこちらに歩いてくると、いきなり世那の胸倉を掴みあげた。
「ちょっ、ちょっと…っ!」
思わず彼に向かって声をあげると、世那は手をこちらに向けて制止させた。
「おい、薄汚い手で俺に触んな。まずお前誰?ビョーイン連れてってやろうか?」
「……こんなふざけた奴に桜木先輩は傷付けられたのか」
桜木先輩?
ふと先程甲斐君が持ってきた噂話を思い出す。
『なんと!あの桜木先輩に新しい恋人が出来たんだ!それも俺らと同じ二年生のやつ!』
(もしかしてこの人が桜木先輩の新しい恋人…?)
改めて世那を睨みつける目の前の人間に視線を移す。
キリッとしたアーモンド型の瞳と、サラサラとした黒い髪。
いかにもスポーツマンといった出で立ちだ。