気まぐれ王子と召使い

「あのクソ野郎と俺が同じ停学処分なの納得いかねーんだけど」


「……それはそうだねぇ」



せめて先に手を出した早崎がもう少し重い処分なら納得はいくけど、2人共全く同じ一週間の停学処分って言うのは私もあまり納得出来ない。



「また絡まれないと良いね、早崎に」


「早崎って誰だっけ」


「いや、ほら、桜木先輩の新しい恋人……」


「あー、俺を殴ってきたやつ?」


「そうそう。桜木先輩が世那を恨むのは分からなくもないけど、早崎が世那を殴るのはお門違いだよ」


「先輩に恨まれんのも意味分かんねーけどな」



まぁ世那目線だとそうかもしれない。

でも人間の感情は複雑なもので、その人になってみないと、実際の所何をどう感じているのかまでは分からないのだ。

意外と恨んでないのかもしれないし、私達が考えてるよりも桜木先輩にはもっと辛い感情があるのかもしれない。



『世那君とは出来たの』


ここに来て、桜木先輩の言葉が頭の端でチラつく。

聞くべきじゃないのに、私の口からは言葉が自然と流れていった。



「……世那さん」


「あん?」


「桜木先輩とは最初にカラオケ行ってそれっきりなの?」


「おー。1回カラオケ行ったぐらいでよくあんな俺に入れ込むよな」



ヘラりとどこか嘲笑するように笑う世那。
世那が嘘をついてるようにも見えないけど、桜木先輩のあの反応も嘘をついてるようには見えなかった。


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