気まぐれ王子と召使い
「世那の気持ちを尊重しすぎてるかぁ……」
「夕香里は世那を大事にしてるけど、世那だって夕香里を大事にしてるよ」
「そうかな……」
「そうだよ、心配だから怒るんだよ」
琥珀君の純粋で真っ直ぐな目を見てると本当にそう思えてくる。
最初は旧校舎の話だったのに途中からなんだかお悩み相談みたいになってしまった。
琥珀君の綺麗な瞳から逃れるようにわざとらしく咳払いをする。
「えーっと……まぁ……とりあえず、前向きに検討しておくね」
「うん、世那も連れて来ていいからね。きっと啓も喜ぶよ」
「真堂喜ぶかなぁ」
「啓は心が広いからきっと喜んでくれるよ」
物は言いようだ。
確かに見方を変えれば心が広いように見えなくもない。
それでもあんまり同意する気になれなくて、その場は乾いた笑いで返してしまった。