気まぐれ王子と召使い
「ただいま戻りました〜」
「随分遅かったな。腹でも下してんのか?」
なんてデリカシーのない事を言うんだ。
興味無さそうに言う世那に表情筋がピクピクとするのが分かる。
「し、失礼な……雑談してただけですよ」
「ふぅん……誰と?」
「だ、誰でも良いじゃん」
琥珀君って正直に言うと怒られるかと思って、思わず適当に誤魔化してしまった。
それがいけなかったのか、目を細めて疑いの眼差しで私をジロリと見つめた。
「誰でもいいなら言えんだろ」
「本当に大した話じゃないよ、世那さんが気にする程の事じゃあ……」
「気にするか気にしないかは俺が決める。早く言えよ」
眼光を鋭くさせて私を突き刺すように見てくる世那に観念して、大人しく正直に話すことにした。
「観念します……琥珀君と廊下でばったり会ってちょっとお喋りしてたんだ」
「あの女男が用もないのにお前に話しかけるとは思えないけど」
「……前に真堂が"旧校舎に行こう"って話をしてたじゃん?琥珀君も誘われたらしいからその話を……」
真堂という単語が出た瞬間、世那は誰が見ても分かる程酷く不愉快そうに顔を歪ませ、忌々しそうに舌打ちした。