気まぐれ王子と召使い
そんな水瀬ちゃんに気付いてるのか気付いてないのか、真堂は「山吹と俺は一年の頃にもこういうのしたからな」と世間話を話すように言葉を返した。
「は!?なんで私も誘わないのよ!」
「お前怖いの嫌いだって言ってたじゃん。なぁ山吹?」
「えぇ…それ私に振るの……?」
「山吹!!アンタ、私が怖いの苦手だって知ってても一応誘うのが筋じゃないの!?」
めちゃくちゃな言い分だ。
ビシッと私に向かって指をさす水瀬ちゃんに苦笑いをすることしか出来ない。
水瀬ちゃんは私と真堂が知らない間に二人で遊んでいるのが気に入らないのだろう。
彼女は苛立ちを隠そうともしないでジメジメとした旧校舎の中で地団駄を踏む。
せっかくの怖い雰囲気が台無しだ。
「さ、誘ったら怒るかなって思って…」
「聞いてみるぐらい良いじゃない!どうせ真堂と二人きりで遊びたかっただけでしょ!!」
「そ、そんな事ないって!」
「………よく分からないけど…喧嘩は良くないよ?」
「なっ…霧島はなんでそんなにのほほんとしてんのよ!大体アンタだってなんで着いて来て、」
「静かに」
先頭を歩いていた真堂が口元に手を当て私達を見渡す。
慌てて水瀬ちゃんが口を閉ざし、皆が耳を澄ませる。
すると、出入り口の方……つまり、私達が来た方向から小さくカツン、カツン、と足音のような物が聞こえてくるのが分かる。
勿論、全員止まっているので私達以外の足音ということになる。