七つの海を渡る愛 ~Love Ocean~
「殺されかけた!?」

 レイラは王子の言葉に、ただ驚くことしかできなかった。
 王都レスボラへは一度も行ったことがないが、おおよそ血生臭いこととは無関係だと思っていた。

 国王は大変民思いの人物で、だからこそレイラたち〈ゴールドバロン海賊団〉は処刑されることなく活動を続けていられるのだ。それだけ人望に熱い人物だから、その子息であるルイス王子もそうなのだろう。そんな親子を憎み、反乱を起こすような人物が存在していたなんて……。

「その……、反乱を起こそうとしている人物って、どんなヤツなの?」

「この国の(さい)(しょう)で、僕の母方の叔父(おじ)にあたる人物だ。名前はシャロフ・ネビータ。叔父は自分が何の権力を持っていないことが不満で、僕たち王族――というか父と僕の権力を奪い、この国を手に入れようとしているんだ。悪徳商人たちと手を組んで」

「なるほどね。悪徳商人たちは自分たちの財産が国に管理されていることが気に入らなくて、王さまを憎んでる。あの人たちはもっとお金儲けをしたいはずだものね。そこで、王権をひっくり返したいその宰相と利害が一致して手を組んだ。そんなところ?」

 宰相もまた、悪徳商人たちが儲けた金で私腹を肥やそうと企んでいるのだろう。そういうのを、東洋のことわざでは「同じ穴のムジナ」というのだと、レイラは知っている。

「君は頭がいいんだな。だいたいそのとおりだ」

「でも、宰相なのに権力を持ってないっていうのは? 仮にも王妃の弟、つまりは王さまの義理の弟にあたる人なんでしょう?」

「王家のしきたりでは、国王の配偶者の兄弟姉妹に王族と同等の権力は与えられないことになっているんだ。だから王の執務を代行することはできても、そこに王と同等の権力は行使されないんだよ」

「えっ、そうなの? 知らなかった」

 こうして王子とこんなキッカケでも知り合えなければ、王家のしきたりなんて知ることもなかっただろう。

「しかし、レイラ……と言ったっけ? 叔父の狙いはどうも、国を乗っ取ることだけではなさそうなんだ。僕には、もっと大きな……とてつもなく大きな別の狙いがあるような気がしてならない」

「別の狙い?」

「叔父はどうも、海賊を根絶やしにしようとしているらしい。そして、悪徳商人たちの船でこの世界のすべての海域を牛耳ろうとしているようなんだ。僕が船の上で襲われたことも、偶然ではないかもしれない」

「そっか。王さまはあたしたちみたいに、残虐な行為をしていない海賊には恩情を与えて下さっているものね。それが、宰相は気に入らないということか」
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