愛を知らない御曹司は専属メイドにご執心
 夜、家事を終えて自室へ戻った私はベッドに倒れ込んで一息つく。

(一体……どうしてあんな嫌がらせを……)

 突然始まった嫌がらせについて考えてみたけど、思い当たる原因は見当たらない。

 だけど、考えてもみれば、嫌がらせが始まったのは上澤家を去ってから。

(もしかして……これは上澤家の……巴さんの、仕業なの?)

 思い返せば、私は巴さんに偉そうな態度ばかり取っていた。

 メイドとして働いていた時はそれでやっていけたかもしれないけれど、財閥の子息にあんな態度を取って辞めた私を、巴さんは許さないつもりなのかもしれない。

 だけど……、

「こんなやり方……巴さんが命じるとは思えない……」

 あんな嫌がらせを命じるような人間では無いと思うし、いくら何でも巴さんがそれをしているだなんて考えたくもない。

「……とにかく、これ以上何かされないよう、誰が黒幕なのかを突き止めなきゃ……」

 私みたいな一般人にそれを探る術があるのかは分からないけれど、何もしないでされるがままなんて耐えられない。

 何が理由なのか、こんな酷いことをするのは誰なのか、私は必死に原因を探ろうとSNSなどで情報を探ってみる。

 その時、お店のSNSアカウントに一通のダイレクトメールが届いていて、また悪戯かと思いつつもそれを開いてみると、

「あ……」

 それはある人物からのものだった。
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