愛を知らない御曹司は専属メイドにご執心
「どうして……、こんなこと、したんですか?」
「どうして? そりゃあ恨むだろ? 元はと言えばアンタのせいで上澤家をクビになったんだからさぁ」
「…………っ」

 高間さんは冷たい視線を向けながら、何故こんなことをしたのかという私の問い掛けに答えていく。

「それは、確かに、申し訳無かったと思います……でも、だからって……」

 彼が言うに、上澤家をクビになったことが発端のようだけど、それについては私に非があったから何も言えないけれど、だからと言って実家に嫌がらせをするのは違うと思う。

「私を恨んでいるなら、私に直接何かをしてくれば良かったじゃない! どうして家族を、店を巻き込むの? こんなの、酷過ぎる……」
「だってお前、全然俺の気持ちに応えねぇじゃん。優しくしてやったのに、恩を仇で返しやがってよ」
「え?」
「俺が気持ち伝えてやっても渋ってさぁ、何様だよ? テメェがさっさと俺の告白受けてりゃ、店の被害は最小限で済んでたんだぜ? 要するに全てお前が悪いんだよ」

 高間さんは嘲笑うように言葉を並べ立てて私を責めてくる。

(私が彼からの告白を素直に受けなかったから、今回の嫌がらせをしたの? そんなの、理不尽過ぎる)

 悲しくて、悔しくて、怒りが込み上げてきた私は彼を睨み付けて言い返そうとした、その時、

「情けねぇ男だな。女にしがみつかなきゃ生きられねぇとか。勘違いしているようだが、テメェを上澤家(うち)から追い出したのは侑那(コイツ)とのことだけが原因じゃねぇ。テメェがしてきた数々の悪行が明るみになったからクビにしたんだ」

 私たちの間に割って入って来た巴さんは、高間さんに向かってそう告げた。
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