運命の恋をした御曹司は、永遠にママと娘を愛し続ける
「一度は社長の指示で揺らいだ現場ですが、ここで大きな度量を見せていただければ、士気は必ず戻ります。結果として業績も上がり、社長の立場はこれまで以上に確かなものになるはずです」

 貧しい生い立ちからくる劣等感、そして長年の屈辱をバネに、地位や評価に対して異常なほどの執着を持つ父。そこを突くと、父は不満そうに顔をゆがめながらも、「……わかった。やっておけ」と言い残した。――まったく、呆れるばかりだ。そう思っても、もちろん口に出せるはずもない。

 父の仕事を私が請け負っている状況は、毎日が相当な業務量だ。調べることも多く、ひとつひとつの判断が会社全体に影響を及ぼす。本来なら社長自らが取り組むべき案件のはずなのに、そんな意志は父にはまったく見受けられない。
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