運命の恋をした御曹司は、永遠にママと娘を愛し続ける
『それぐらいのことで私の手を煩わせるな』
 要するに「お前がやっておけ」ということだ。そんなことを言う人間が社長ということが、問題なのはわかっている、だからこそ、私自身やるしかない。

 社長の周りにいる役員も、真正面からものを言える人間など、社内にはひとりとしていない。誰もが自分の立場を守るため、見て見ぬふりを決め込んでいるだけだ。
 欝々とした感情に呑まれそうになっていたとき、内線のベルが鳴った。私は小さく息を吐き、気持ちを切り替えるようにして受話器を取った。

 ここは、東京の中心部にそびえる高層ビルの十二階。私が勤務しているのは、『Wakaba Foods』という飲食関連企業の本社オフィスであり、フロアの一角にある秘書室で私は日々の業務をこなしている。
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