運命の恋をした御曹司は、永遠にママと娘を愛し続ける
 まだやるべき仕事は残っていたが、今日はどうにも集中力を欠きそうだった。
「ああ。そうする」

 そう答えて車を降りた瞬間、視界の端に立ちすくむ女性の姿が映り、思わず足を止めた。
「また誰か突撃しに来たのかもしれないな」
 康介が半ばうんざりした調子で口にし、俺は苦笑を漏らした。確かに、これまでもストーカーまがいの相手がいたのは事実で、だからこそ毅然とした態度を崩さずにきたのだが……。

「……晴香?」
 気づけば口をついて出ていた名前に、自分でも驚いた。康介が怪訝そうに「知り合いか?」と問いかける声が耳に入る。

「ああ。今日はここまででいい」
「え? おい、まさかお前」
 狼狽した声を背に受けながら、俺の胸には一瞬にして、あのころの淡い記憶が鮮やかによみがえっていた。けれどもその瞬間、晴香はくるりと踵を返し、立ち去ろうとしていた。

「晴香!」
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