私と彼と彼のアンドロイド
「光稀さん、勝手すぎる! セカンドはちゃんと私を尊重してくれるのに!」
「僕も尊重してる!」

「だけど、ずっと一人前に扱って貰えてない! いつまでも子どもあつかいで! 光稀さんは私のこと本当はどう思ってるの!?」
「大切に思ってるよ」
「所長の娘だから?」
 涙ぐんで叫ぶ音緒に、光稀は深いため息をこぼす。

「……言い合っていても仕方がない。シャワーでも浴びてきて、落ち着いて」
「光稀さん!」

「悪かった、言い過ぎたよ。だけど出かけるときは言ってほしいし、セカンドは開発途中だから外に連れて行かないでくれ」
「光稀さん、話は終わってないよ」

「ごはんはデリバリーをとろう。君の好きなイタリアン、なんでも注文していいから」
 言い置いて、光稀はリビングを出て行く。

「話……聞いてくれないんだ」
 音緒はぐすんと鼻をすする。ぽたり、と雫が落ちて、絨毯にシミをつくった。

 その後は仕方なくシャワーを浴びて出て、気まずい夕食を一緒にとり、うちひしがれて自室に戻る。
 セカンドと家をでたときには、わくわくしていた。光稀との距離を縮めるきっかけをつかめればいいなと思っていた。
 だが、実際には彼とケンカをする結果になってしまった。

「ケンカに……なってるのかな」
 彼に怒られたのはショックだが、それ以上に、自分をどう思っているのか、答えてもらえなかったことが胸に重い。
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