貧困乙女、愛人なりすましのお仕事を依頼されましたが・・・
ずぶぬれ事件
<ずぶぬれ事件>
「本日5時にアレックス様がそちらに行きます。
お迎えの準備をしてください」
携帯に、カートリッジからの連絡が入ったので、壁にある時計を確認すると、4時30分過ぎ。
ジェシカは犬笛を吹くと、バリーが疾走して戻って来た。
「もう少し遊べるかな」
ジェシカはテニスボールを思いっきり投げると、チャプンとボールは噴水の中に入ってしまった。
するとバリーも大ジャンプして、噴水に飛び込み、ボールを鼻先で探している。
「だめ!バリー、すぐに戻って!!
水から上がって!!」
ジェシカが噴水の縁に手をかけて、
浮いているボールを手繰り寄せようとした時、
ずるっ・・・
「ぎゃぁ・・・」
ミズゴケで手がすべって、体のバランスを崩して、噴水の中に落っこちてしまった。
噴水は浅かったので、溺れる心配はなかったが、びしょぬれでズブズブだ。
バリーは噴水から出て、盛大な胴震いをして水を切っている。
「ああ、どうしよう。アレックス様が戻ってきちゃう!!」